外科的療法
もともと治しようがない根管の症例、あるいは通法通りに清掃したのでは一構に痛みが取れない症例には、歯科医師はどのように対処しているのでしょうか?
抜歯を含めた外科処置です。「歯根端切除術」と呼ばれるオペがあります。(図20、21)
この方法を簡単に説明すると、汚染された根の先を切り取るという方法です。
まず、根の先の辺りの歯茎を剥離して、根の先端を露出させます。そして、先端2mm程度を切除した後、その周囲の細菌を耳掻きのようなものでかき取るのです。
そして、空いた隙間に薬を入れて、傷を閉じます。
この方法は、外科的に不良な部分を取り除くという意味では非常に利にかなっているのですが残念ながら次のような欠点があります。
・観血的な外科処置である
・術後の痛みを伴う
・歯茎がやせることもある
・糖尿病、骨粗鬆症などの全身疾患の患者さんにはできないこともある
そして、何よりも重要なのは…。
・根が短くなってしまい、歯の支えが少なくなる
ということなのです。
つまり、歯を支えるはずの根が短くなることで、歯は揺れやすくなり、少しでも歯周病に感染すると、抜歯せざるをえなくなってしまいます。
また根の先が元々の自然の形でないために、根の先が自然に吸収してくることもよくあります。
つまり、歯を抜歯しないで保存する「歯内治療の限界」を越えた「歯科治療の限界」ということになり、最終的には「抜歯」を選択するしかなくなります。