EMAT(高周波根尖療法 )の原理
彼の経験から、「抜く前に、電磁波で殺菌してみよう!」そう思うようになりました。
歯根の周囲の骨は、細菌をある一定量まで減らさないと、決して自然に治ってくることはありません。まして、高齢者や体力を落としている方、免疫力が落ちるような全身疾患を患われている方はなおさらです。
「自分のしてもらいたい治療を、患者さんにする!」
それが、開業前からの私の信念でした。
「抜かない・削らない」
歯はなくなってしまうと髪の毛や爪とは異なり、二度と萌えてはきません。
「天然のままが一番いいのです。」
私は、この治療方法を「高周波根尖療法 」、「Electro-Magnetic Apical Treatment(略してEMAT)」と名付けました。
それからは、歯根を支える骨が1㎝程度溶けている症例は全て電磁波で殺菌を行い、しっかりとパッキングしました。EMAT(高周波根尖療法 )を本格的に行いはじめて3年間、幸い全症例とも抜かずに残すことができ、患者さんと一緒に喜びを感じることができました。
2007年4月からは、EMATの原理を解明すべく、母校の徳島大学大学院バイオヘルス研究部(松尾敬志教授)に社会人大学院生として入学しました。大学生時代1年後輩だった湯本浩通先生に指導を受けながら研究を行うようになりました。研究が進むようになり、予想通り細菌は電磁波を通電することによって大幅に減少し、しかもそれが数秒当てるだけでよいことが分かりました。
2008年4月、画期的な発見がありました。何と、電磁波によって骨をつくる細胞(骨芽細胞)が増えているのです。つまり、人体を攻撃する細菌を減らして、溶かされた骨を元通り治そうとするメカニズムが解明されたのです。
「これなら、今まで外科処置しかなかった歯を救うことができる」
「天然のまま、歯根を残すことができる」
「抜かなくても済むようになる」
色々な思いが頭を駆け巡りました。
これを、世界中の歯科医師に伝えよう!
歯科業界の最先端はアメリカにある。
2009年4月30日、アメリカ フロリダ州オーランドで開催された「2009 American Associate of Endodontists Annual Session」において「The effect of Electro-Magnetic on bacterial viability and Osteoblastic cell proliferation(電磁波の細菌・骨芽細胞に対する影響)」を発表することにしました。(図22)
今までになかった新治療方法をアメリカはどんな風に受け止めてくれるのか?どんな評価があるのか?
当院のクルー全員の心のこもった寄せ書きをもって、色んな思いで渡米しました。
世界各国から来ている歯内療法専門医、歯科医療メーカー、デイーラーさんなどから、多々の質問を受け、色々な意見交換ができた4日間を初夏の気候のもとで過ごすことができました。